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2011-10-25

『秒速5センチメートル』は心の奥で何かがうごめく


最近、『秒速5センチメートル』を見ました。

これはあまり書きすぎると自分自身をエグることになるのですが。

ヒトコト、はまりました。

きっと見る人によって感じ方は違うでしょうね。

自分にとってはこの作品は甘酸っぱくもあり切なくもあり、以前のいろんな思い出が掘り起こされるようでした。


一応、簡単に紹介しておくとこの映画は3本の短編から構成されるおよそ1時間程度の作品です。

  • 「桜花抄」
  • 「コスモナウト」
  • 「秒速5センチメートル」

作品の細やかな解説や分析は他ブログに任せます^^;


主人公

物語は3編とも、主に2人ずつ主人公が配置されています。

遠野貴樹、篠原明里、澄田花苗がそれぞれ3編に二人ずつ登場します。


桜花抄


貴樹と明里の小学校~中学校時代が描かれます。不思議なタイトル「秒速5センチメートル」とは何のかが冒頭で説明されます。
これは桜の花が落ちて行くスピードだそうです。

同じ転校生同士、精神的にも似通った二人がひかれ合いながらもお互い転校でバラバラになる。
その直前の再開と別れまでが描かれるのですが、なんていうのかな。
小学生の時の初恋や、中学生の頃のなんとも言えない好きな娘への気持ちが思い起こされて、けっこうしんどい^^;

そんなに仲良く女の子と喋れるわけじゃなかったけど、やっぱり極少数は話せる娘がいて、その娘が気になったり、、、なんてことはあったわけで。


コスモナウト


鹿児島県種子島に転向した貴樹と、そこで出会った花苗との主に高校生活が描かれます。
東京から引っ越してきた貴樹に一目惚れした花苗が、好きだと告白することもできずかと言って諦めることもできず、という苦しいほど切ない状況です。
貴樹は、小学校から好きだった明里のことを忘れられずにいて、おそらくは、いつもそこにいない明里のことを思いながら過ごしているのでしょう。
だから、優しくはできても振り向くことはできない。


秒速5センチメートル


タイトルにもなっている3編目は、社会人になった貴樹と明里。
貴樹は就職し、何かもわからない高みを目指して懸命に働いた結果、何のために高みを目指していたのかを見失います。
一方、明里は貴樹ではない誰かと結婚することが決まり……。

進むべき道を見失った貴樹と進むべき道を見定めた明里が、子どもの頃よく通った踏切で邂逅し、遮断器が上がった時……。
貴樹は少し微笑みを浮かべます。まるで、ようやく次へと進むことができるように。


すごくいい映画

ちまたではこの作品は欝発生装置として恐れられているようです。その気持ち、わからなくはないですね。
ただ、僕の場合、この作品は欝エンドではないと思います。

切なさはあるけど次へと向かう決意が固まるまで、男は時としてこれだけの時間を要するのだということなんだろうと思います。
必要なのは時間だけじゃなく、キッカケも、なんですけどね。
それが貴樹にとっては、遮断機があがった後の一瞬であったということなんだろうと思います。

男というのは、かくも引きずるものかとエグラれながら見れますw

気分爽快!というわけには行きませんが、何か心の奥でうごめくものがある、たしかに感じられるそういう映画です。

その他、背景描写がめちゃめちゃキレイ。サクラも、空も宇宙も、ほんとうにキレイです。
あと、好きな山崎まさよしの名曲「one more time,one more chance」が作品を貫いているので、そういう楽しみ方もあるかと。

とりあえずDVDと小説がほしくなったw